債権回収の方法|スムーズに進めるためのポイント・注意点も解説

自社の債権がユーザーや取引先から期限までに支払われなかった場合は、何らかの形で債権回収に向けて対応する必要があります。しかし、債権を回収するのは必ずしも容易とは限らず、取引先の状況に応じて対応を検討しなければなりません。
債権回収の必要性が生じた取引先への対応は、多くの場合慎重に行わなければならず、その方法も1つではありません。この記事では、債権回収の方法やスムーズに進めるためのポイント・注意点などを解説します。

債権回収が必要な場面と債権回収方法について

債権が必要になる場面

債権回収とは、「期限までに支払われなかった債権を回収するため、債権者側が具体的な行動をとる」ことをいいます。具体的には、債権者が商品の代金・工事代金等の支払いを債務者に求めるケースが該当します。
実際に債務者との間で何らかの問題が発生したケースとしては、以下のようなものが考えられます。

  • 債務者と連絡が取れなくなった場合
  • 支払いを遅らせて欲しいという連絡があった場合
  • 悪質なクレームによって支払いを遅らせようとする意図があった場合
  • 債務者が不渡りを出す、あるいは経営状況悪化がささやかれている場合
    など

また、債権には消滅時効があるため、基本的に問題を長期化させても良いことはありません。よって、このような問題が発生した債権者(企業等)は、迅速に債権回収に向けて動かなければなりません。

債権回収の主な方法

債権回収の主な方法としては、以下の7つがあげられます。
弁護士・裁判所を間に挟む形になると、それだけ債権回収に費用・時間・労力がかかる結果となります。可能であれば、できる限り交渉による解決に向けて動くのが望ましいでしょう。

電話・面会等による交渉

  • 債権者に支払いの意思があれば成立しやすい
  • 交渉に応じてもらえない場合、弁護士が第三者的に交渉を進める方法もある

内容証明郵便での督促

  • 内容証明郵便を使い、債権・遅延損害金の金額及びそれらの根拠・支払期限・振込口座などを記載する
  • 確定日付が成立するため、正式な請求であるというメッセージを送るとともに、消滅時効の完成を6ヶ月猶予させることができる

民事調停手続き

  • 裁判所で当事者間の話し合いにより解決を図る制度
  • 柔軟な解決方法を探るのに有効

支払督促

  • 簡易裁判所によって債務者に対し支払いの督促をしてもらう手続きのこと
  • 相手方が異議を申し立てなければ、仮執行宣言→強制執行という流れで手続きを進められる
  • 相手方が異議を申し立てた場合は、支払督促はその効力を失い、通常訴訟に移行する

通常訴訟

  • 電話・面会等での交渉による支払いが難しい場合、通常訴訟を提起して支払いを求める
  • 相手方が争わない場合・相手方の主張に明らかに理由がない場合は、1回目・2回目の裁判期日で判決が出ることもある

少額訴訟

  • 60万円以下の金銭の支払いを求めるケースが対象
  • 原則として1回で審理を終え、即日判決が出るものの、相手が異議を申し立てた場合は審理やり直しとなる

強制執行

  • 裁判での勝訴判決・和解調書を得たにもかかわらず、相手方が支払いに応じない場合に、債権者の申立てにより、裁判所が差し押さえた債務者の財産から債務を回収する手続き
  • 大きくは、不動産、在庫・設備等、預金といった3種類の執行に分けられる

債権回収をスムーズに進める方法と注意点

債権回収をスムーズに進める方法

債権回収は、やみくもに取り組んでも良い結果にはつながりにくいでしょう。以下、債権回収をスムーズに進めるための方法について解説します。

準備を丁寧に行う

債権回収を進める際は、契約内容・支払履歴・消滅時効といった債権の現状を把握しましょう。契約の各種条項にも目を通し、どのような場合に・誰から債務を回収できるのか規定を確認しておきます。もし、不法行為によって債権が発生した場合は、その事実を法的に分析することが必要です。

債権回収の手段について検討する

債権回収の方法は、大きく分けて交渉によるもの・法的手段によるものの2種類があります。交渉を行う場合は、内容証明郵便を送付した上でのやり取りが一般的ですが、支払いという結果につながらなかった場合は法的手段へと移行します。

複数のケースを想定する

債権回収時は、債務全額の支払いを求めることが基本方針となるでしょう。しかし、利息・遅延損害金カットなどを要求される場合もあるため、譲歩してもよい基準を決めておくとスムーズです。

債務者の財産特定には「第三者からの情報取得手続き」を使う

支払督促・訴訟に至り強制執行を申し立てる場合、対象となる債務者の財産を特定しなければなりません。自力で突き止めるのは非常に難しいため、第三者からの情報取得手続を申し立て、公的機関・金融機関から情報提供を受けることが大切です。

債権回収時の注意点

債権がからむ問題は、往々にしてトラブルに発展しやすい傾向にあります。債権回収手続きを進める際は、以下の点に注意しましょう。

消滅時効の期間は債権により異なる

一口に債権といってもさまざまな種類があり、それぞれ時効期間も異なります。例えば、一般の民事債権であれば10年ですが、小切手債権になると6ヶ月と短くなります。債権の種類によって対応スピードが変わってくるため、手続きを進める際は当該債権の時効も合わせて確認しておきたいところです。

分割払いに早々に応じない

債務の一括払いが厳しく、分割払いを提案する債務者について、債権者は「本当に債務が支払えるのかどうか」事前に確認しなければなりません。一括回収できるならそれに越したことはないため、資力を確認してから判断しましょう。もし分割払いに応じるとしても、債務者の信用性が低ければ支払計画を作っても意味はないため、合意書作成、及び担保権の追加設定合意の規程が必要です。

債権譲渡の可能性を示唆する

債務者が債権を持っていて、その第三債務者から回収できる確度が高そうなら、債権譲渡という形で対応することも可能だと示唆しておきましょう。債権譲渡に応じられそうな状況なら、具体的な手続きをガイダンスして、確実な回収を目指すことが大切です。

債権回収における内容証明郵便の有効性

取引先から債権を回収する際は、取引先のスタンスに応じて適切な方法を選び、できるだけ全額回収を実現できるよう対応する必要があります。最悪の場合、訴訟に発展することも想定して、あらかじめ段取りを組んでおくのが望ましいでしょう。特に、内容証明郵便での督促は、自社の債権に対する毅然とした態度を示す上で一定の有効性があります。内容証明郵便は、特定の内容を確実に相手に送達するための方法であり、内容証明郵便を使うことで、債務者に対して通知を送ることができ、その内容が証拠として認められる場合があります。しかし、債権回収時に内容証明郵便を送付する上で、債務者へ到達するまでのタイムラグ、送付までの稼働や費用が発生いたします。そのような場合、内容証明郵便と同等の機能を持つSMS配信サービスを活用することで解決できます。

債権回収業務におけるSMSの活用

SMSソリューションを活用した債権回収

SMSソリューションを活用すれば、内容証明郵便や未払い債権の回収に関わる督促状、受任通知等に関わる書面の郵送をSMSに置き換えることができます。SMSソリューションは経済産業省および法務省から産業競争力強化法に基づく新事業活動計画の認定を受けた事業者によって提供される情報システムを利用したサービスで、確定日付のある証書による通知等とみなされるSMS配信サービスです。主な特徴は下記です。

  • 既存の方法(内容証明郵便等)に代わりSMSで通知
  • 通知記録(通知内容、SMSの送信・到達日時、債務者のURLアクセス日時のログ等)をサーバに5年間保存
  • 申請者の申し出に基づき、通知記録の証明証を発行

SMSソリューションはSMS本文に債権回収に関する情報を記載した本人認証機能を付したURLをお送りし、URLの遷移先で受信者(債務者)が情報を閲覧する仕組みです。その過程でURLクリックや本人認証時間のトラッキングが取れるため、受信者(債務者)へ情報が到達したかリアルタイムで確認をとることが可能です。

まとめ

取引先から債権を回収する際は、取引先のスタンスに応じて適切な方法を選び、できるだけ全額回収を実現できるよう対応する必要があります。最悪の場合、訴訟に発展することも想定して、あらかじめ段取りを組んでおくのが望ましいでしょう。
特に、内容証明郵便での督促は、自社の債権に対する毅然とした態度を示す上で一定の有効性があります。より迅速な対応を検討している方は、経済産業省・法務省から産業競争力強化法に基づく新事業活動計画の認定を受けた事業者によって提供される情報システムを利用した内容証明郵便などに代わる新たな通知手段としてご利用いただけるNTTタウンページの「SMSソリューション」をご活用ください。

2024年8月執筆