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債権譲渡とは何かわかりやすく解説|SMSによる通知も可能

新型コロナウイルスの影響や国際情勢の変化などを理由に、経営状況の悪化に悩む企業は少なくありません。これまで長い付き合いを続けてきた取引先であっても、支払いが滞ってしまう可能性は十分考えられます。

 

これまで積極的に債権回収を進める必要がなかった売掛金管理の担当者も、債権回収の選択肢の一つとして、債権譲渡の手続きを行う機会が増える可能性があります。この記事では、SMSによる通知方法も含め、債権回収についてわかりやすく解説します。




【目次】

1.債権譲渡とは

2.債権譲渡のメリットとは

債権回収がスムーズになる可能性がある(譲受人)

取引先の破綻に対応できる(譲受人)

弁済が難しい債務の解消が可能(譲渡人)

債権を売却して資金が手に入る(譲渡人)

3.債権譲渡における注意点とは

譲渡された債権に問題がある(譲受人)

経営状態を周囲に知られてしまうリスクがある(譲渡人)

4.債権譲渡において重要な「対抗要件の具備」

5.まとめ

 


1.債権譲渡とは


債権譲渡とは、自社の取引先(債務者)が第三者に対して持っている債権を譲渡してもらうことをいいます。債権譲渡を行う主な理由は、取引先の代わりに第三者からお金を回収するためです。

 

上記の文章だけでは、債権の所在や譲渡する相手、債権の支払いを担当する企業など、債権譲渡に関わる企業の関係性がわかりにくいかもしれません。そこで、関係性をより理解しやすくするため、以下の表をご用意しました。


債権/関係者

A社(譲受人)

B社(譲渡人)

C社(第三債務者)

保有債権

債権A

(B社に対する)

債権B

(C社に対する)

なし

支払い義務がある相手

なし

A社(譲受人)

B社(譲渡人)

意向

債権Aを回収したい

債権Aを支払うのが厳しいので、債権Bを譲渡したい

債権BをA社に対して支払う通知を受けたら、その分を支払う

 

単純に考えると、上の表において、C社はA社に対して“B社の代わりに”債権の支払いを行うことになります。ただし、あくまでもB社がC社に対して持っていた債権分だけをA社に支払う形になります。

 

実際に債権譲渡を行う際は、次のような流れで手続きを進めていきます。

 

流れ

詳細

①  債権譲渡契約の締結

●債権の譲渡人・譲受人同士で、債権譲渡契約の締結のため契約書を作成

●押印は実印が一般的

②  対抗要件の具備

●第三債務者・第三者への“対抗要件”を具備する(備える)

※(対抗要件=主張する要件)

 

また、上記の「第三債務者・第三者への対抗要件を具備する」とは、それぞれ次のような手続きをいいます。

 

対抗要件

詳細

第三債務者

●譲受人・譲渡人の間で債権譲渡契約を結んだことを、譲渡人が第三債務者に対して通知する

●譲受人が第三債務者に債権の取り立てを行う場合、第三債務者に「債権譲渡したことを“承諾”してもらう」必要がある

第三者

●債権譲渡を行った事実につき、公的な書類(内容証明郵便等)によって証明する作業が必要

●譲渡人が債権を二重に譲渡してしまった場合に備えて、先に手続きを行ったことを証明する

 

 

 

2.債権譲渡のメリットとは


債権譲渡は、譲受人・譲渡人でメリットが異なります。以下、それぞれのメリットについて解説します。

 

債権回収がスムーズになる可能性がある(譲受人)

譲受人が債権だけを持っていても、それを行き詰った取引先から回収するのは大変な場合が多いでしょう。しかし、第三債務者の経営状態が良好であれば、債権譲渡によってスムーズに債権を回収できる可能性が高まります。

 

取引先の破綻に対応できる(譲受人)

もし取引先が破綻してしまった場合、支払いを受けられなくなるリスクが生じます。しかし、事前に取引先の債権を担保に取っておくことができれば、第三債務者から直接債権を回収できます。

 

弁済が難しい債務の解消が可能(譲渡人)

譲渡人の経営状況において、現金等による期限までの弁済が難しい場合、まずは何とかして弁済のための手段を講じる必要があります。そこで、将来回収の見込みが高い債権を譲渡することにより、自社で弁済が難しい債務の解消が可能となります。

 

債権を売却して資金が手に入る(譲渡人)

債権は、そのまま持っていても資金にはならず、基本的には自社で回収に向けて行動を起こす必要があります。しかし、ファクタリング・債権回収会社への委託といった形で債権を売却することができれば、必要に応じて資金を手に入れることができます。

 



3.債権譲渡における注意点とは


債権譲渡は、譲受人・譲渡人それぞれにとってメリットがある反面、安易に決断すると損失を招く恐れもあります。債権譲渡を進める際は、次の点に注意しましょう。

 

譲渡された債権に問題がある(譲受人)

譲受人が譲渡された債権は、そのすべてが有効であるとは限りません。すでに支払いが済んでいたり、時効となっていたりするケースもあるので、有効性を確認することが大切です。

 

経営状態を周囲に知られてしまうリスクがある(譲渡人)

債権譲渡は、原則として取引先の承諾を得る必要があり、そのプロセスにおいて債権譲渡の事実を知らせなければなりません。債権譲渡によって経営状況が良くないことを取引先に知られてしまうと、今後のビジネスに悪影響を及ぼす恐れがあるため、慎重に判断する必要があります。

 



4.債権譲渡において重要な「対抗要件の具備」


債権譲渡において特に重要なことは、対抗要件を具備することです。対抗要件は、主に次の3つの方法によって具備できます。

 

対抗要件具備の方法

詳細

第三債務者からの承諾を受ける

●第三債務者から、書面で債務譲渡を承諾してもらう

●公証役場で“確定日付”を取得する

内容証明郵便を第三債務者へ郵送する

●第三債務者へ郵送するのは、債権譲渡契約の内容

●内容証明郵便でも“確定日付”が取得できる

●内容証明郵便での郵送は、第三債務者・第三者に対する対抗要件を同時に具備できる

債権譲渡登記制度を利用する

●債権譲渡を行った事実を登記し、債権譲渡を公的に示すことができる

●登記した日付が“確定日付”となるが、債権譲渡登記だけでは第三者への対抗要件しか具備できない

●第三債務者に対しては、登記事項証明書を交付・通知することで対抗要件を具備できる

 

対抗要件具備において重要なのが確定日付で、確定日付とは「対抗要件を具備した日付が明らかになる公的な証明」のことです。確定日付は、日付順で債権の優先順位を決めるという側面もあり、仮に取得したとしても、その日付が対抗者よりも遅い場合、自社で権利を主張することができなくなってしまうため注意が必要です。




5.まとめ


債権譲渡において重要なのは、早期に対抗要件を具備することです。第三債務者・第三者への対抗要件を満たす上では内容証明郵便が効率的な手段であり、近年ではSMSによる債権譲渡の通知も認められています。


NTTタウンページのSMSソリューションは、経済産業省・法務省の「債権譲渡の通知等に関する特例に係る新事業」の認定を受けており、内容証明郵便・配達証明郵便などに代わる新たな通知手段としてご利用いただけます。債権譲渡通知サービス以外にも本人認証機能、アンケート機能、決済連携機能などを備えているため、督促や料金回収など、債権回収に関わる一連の業務でご活用いただけます。様々なビジネスシーンでSMSを活用したいとお考えの企業担当者様は、お気軽にご相談ください。


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2024年2月執筆


 





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